074中小企業診断士でマネジメントゲームをこよなく愛する大石幸紀です。

私はマネジメントゲームと出会って15年経過し、それまでに多くの方にマネジメントゲームを提供してきましたが、中でも一番思い出に残っている受講生に加藤社長(仮名)がいます。

彼は、もともと電気工事会社の一社員でした。日々、現場に向かい納期に追われて電気工事を担当していました。ある日、私はその企業の社長に呼ばれ、社員に利益感覚を身につけたいので、マネジメントゲームを実施したい、という依頼を受けました。

加藤社員(当時)は、それまで経営について勉強をしたことはもちろんありませんでしたし、むしろ数字の話は苦手で避けているようでした。ところが、12名の社員の中でマネジメントゲームを実施したところ、当時の社長も任して、加藤社員が優勝してしまうのです。これには周囲もびっくりですが、本人もびっくりしてたようです。

まあ、そんなことがあるのかなと、その会は終了したのですが、数か月後に再度行われたマネジメントゲーム研修で、また加藤社員が優勝したのです。さらに今度は2位を引き離したダントツの成績で。これで、周囲の加藤社員に対する見方は大きく変わります。

ご本人も自分では知らなかった「自分は利益感覚がある」「利益をだす才能をもっている」という発見は、大きな自信をもたらしたようです。その後、彼は仕事が変わります。納期にまで間に合わせる、仕事の質がいいいというのは当たり前で、この現場ではどれだけの利益がでたのか、自分の部署でさらに利益を出すにはどうすればいいのか、ということを考え始め、自分で実行するのはもちろん、周囲に働きかけ始めたのです。

これには、社長は本当に驚きました。会社に部門別の損益計算書を要求し、自分たちの利益状況を把握どころか目標までたてて実現していくのですから。

しばらくして社長は新規事業を立ち上げ、そちらに専念するために、もともとあった電気工事分を分社独立させます。その社長に加藤社員を抜擢したのです。その指名を、もはや周囲も当然と受け止めました。加藤社員はそれまでも部門のリーダーとして利益を出し続けていたからです。そして、その背景にはマネジメントゲームで社長をも打ち負かした、という自信があったことは想像に難くありません。

今、加藤社長は、電気工事会社の社長として利益を創出し続けています。設立時からどれだけ純資産を増やし、借入金を返済したのか、きちんと成果を出しています。もし、あのとき前社長がマネジメントゲーム研修の実施をしなければ、加藤社長は自分の才能に気が付いていなかったかもしれません。前社長も加藤社長の潜在能力を生かすことができず、新規分野に集中できなかったのかもしれません。

この話は、私の中ではマネジメントゲームのすごさを実感した事例として、マネジメントゲームを推奨する私自身の確信にもなっています。マネジメントゲームの講師を行う際には、第二、第三の加藤社長がこの中から生まれることを期待しながら講義を行っています。